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韓国ドラマが好きになってからのこのごろ


by biancorossa

「甘い人生」

イ・ビョンホン主演作。
彼が「代表作になる」と言ったという話題の映画。

実を言うと、ノワールだというので尻込みしてました。
でも、彼の「代表作」と言わしめるその作品は、
やっぱり見ないと損か?と思って、
勇気を出して見に行ってきました。

・・・・・・いやーーーノワールでした。



ボスの指令に背いたことのない男ソヌ(イ・ビョンホン)
信頼もされていたし、仕事も完璧だった。
その関係から、ボスがひとつの仕事を、
「お前だから」といって頼む。
ボスの愛人に、別の男がいるらしい。
それをつきとめて始末しろというのが使命だった。

ボスの若い愛人ヒス(シン・ミナ)につきそうソヌ。
彼女はチェロリスト。
彼女のスタジオでの演奏を見ているうちに、
何か気持ちが変化するソヌ。
それが原因か、
ヒスの恋人との現場を押さえたとき、
妙な気を起こして「内緒にしてやるから別れろ」という。

そんなちょっとした気持ちの変化が、
ソヌの人生を変える。
うまく隠したつもりだったが、ボスには筒抜けだった。
すべてが順調だったソヌは、すべてを敵に回すことになる。
気付けば襲われて、捕らわれていた。
痛めつけられ、命を奪われるところを、
結局ぎりぎりのところで命をつないでいく。

「なぜあんなことをしたか」というボスの質問にも、
ソヌは答えられない。
ソヌにも自分のしたことの理由がわからない。
そして、ボスがなぜ自分をこんなにしてしまったのかさえも。


ソヌの立場が変わったときから、
暴行シーンが続き、それはもう苦しいほどである。
終盤には銃撃戦になって、これも激しい。
わたしのような軟弱者には、つらくて厳しい。
そのせいか、見終わった後には暗い気持ちになった。

しかし、思い返してみれば、
やはり気になるのは、ソヌがわからなかったその「理由」かもしれない。
最後の最後まで、彼は気付けなかったかもしれない。
それくらい、意識できないほどの思いだったのだ。
ほんの少しの時間垣間見たヒスの表情に、
別の世界の扉を開いたような、彼が初めて持つ思いだったのだと思う。
もしかすると、ボスでさえ、それと同じような思いを持ったのかもしれない。
ボスとこの愛人ヒスは、つりあっているとは思えない。
ヒスだって、ボスに対してどう思うのか不明である。
(というか、マジだとは思えない)
暗黒の世界にいながら、別世界の女をやすらぎとして得たいという、
ボスもかなり別世界へのあこがれを持ったのかもしれない。
信頼していたソヌが、自分と似たような感情を持ったことを知り、
許せなかったのかもしれない。
自分よりも若いソヌの方が、ヒスに愛されてしまうかもしれないと恐れたか。

始めてしまったらもう止められない。
人生にはそんなところがある。
甘い人生を夢見ても、それは少し苦いかもしれない。
(英題にはbittersweetとある)


いちばん何度も思い返してみるのは、
かなり初めのシーンで、
ソヌがチョコレートケーキ(に見えた)を食べるところである。
あれは絶対おいしいと思う。
あれを「甘い人生グッズ」と一緒に売ってくれるなら、
絶対買いに行くのに。
(食い意地が張っててすみません)
by biancorossa | 2005-05-10 11:24 | 映画